ANYCUBIC i3 MegaのM/Bファンを交換して静音化&冷却を強化
はじめに
明けましておめでとうございます。ハッピーマウンテンです。今年もハピマファクトリーをよろしくお願いします。
前回、激安中華3DプリンタのANYCUBIC i3 MegaのモータドライバをTMC2208というものに交換し、静穏化と精度向上を図りました。結果として大幅に静穏化できたので満足なのですが、TMC2208は発熱がやや大きく、長時間高負荷の運転だとモータが脱調を起こす可能性があり、夏に向けて冷却性能の強化は必須となります。また、標準でついている冷却ファンは小さいため爆音で、取り付け位置的にもあまり冷えなさそうなので、大径で静かなファンに交換しようと思います。
効率よく冷やすには
一般に、冷却とは熱を他の物質(空気など)へ移動させる行為を指します。熱は高いところから低いところへ移動するため、空気の流れ(エアフロー)を作り、冷たい空気を取り込み暖かい空気を排出させることが効率よく冷却させる方法です。
マザーボードの側面に通気口が設けられているので、今回は背面から冷風を取り込み側面から熱風を排出するようにします。イメージとしてはこんな感じです。
ファンの選定
次にファンを選定していきます。シロッコファンだと横方向に送風できますが、うるさくやや高価でバリエーションも少ないので、PC用の汎用ケースファン(DC12V、0.1~0.2Aくらい)を用いることにします。今回選定するにあたって決めた条件は以下の3つです。
- できるだけ大径
ファンのサイズを大きくすると、回転数当たりの風量を増やすことができます。よって、高冷却率を実現できます。マザーボードのサイズ的に120mmくらいが適当と判断しました。
- できるだけ静音
サイズの大きいファンを選定すれば、風量はそこそこ確保できるので回転数はあまり上げる必要はありません。今回は120mmファンなので、1000rpmほどの回転数があれば十分でしょう。ちなみにマザーボード側に回転数制御の機能は恐らくありません。
- できるだけ安価
静音かつ大風量のファンといえばNoctuaが有名ですが、非常に高価です。3万の激安3Dプリンタに高級ファンを用いるというのも馬鹿らしいので、できるだけ安価なファンが望ましいです。今回は1000円前後を目標にします。
というわけで、今回は以下のファンを選定しました。
120mm、1200rpm、900円弱と条件に合っており、サイズのファンは評判もいいのでこれで間違いないでしょう。しかし、買ってから気づいたのですがファン幅が27mmと分厚いので底面からはみ出してしまいます。薄型ファンにすればよかった…
買ってしまったものは仕方がないのでこれでいきます。
ファン固定用の部品を作る
ファンの選定ができた(ミスったけど)ので、固定用の部品を作ります。PC用のケースファンはねじ穴の位置がある程度共通なので非常に楽です。今回はマザーボードの固定用ねじと一緒に固定する形をとり、ファンが大きいのでモータドライバだけでなくマザーボード全体を冷却できるようにします。
できました。ドライバ基板のヒートシンクの背が高いので、25mm底上げしてあります。あとはこれを印刷すれば完成です。
印刷できたらファン付属のねじで取り付けます。ジャストサイズですね。ファンのケーブルが長いので取り回しは考える必要があります。
マザーボードと接続ケーブルを作る
マザーボードとファンは2ピンのXHコネクタで接続されています。XHコネクタを持っている人はいいのですが、自分は手持ちがなかったので、交換前のファンのケーブルを切って使うことにします。ファン側については、ケーブルを切るのはもったいないので、付属のペリフェラル4ピン変換コネクタを切って使うことにします。黄色のケーブルは回転数の信号線なので、切っても大丈夫です。
あとはこの2つをつなぎ合わせればOKです。
3Dプリンタにファンを取り付ける
後はファンを取り付けるだけです。かなり大きいので、先にケーブルをマザーボードと接続しておきます。その後、ファンを取り付けてボルトで固定し、ケーブルを接続すれば完成です。
サイズ的にはぴったりでした。ただ、このままでは背面からファンが飛び出た状態になってしまうので、背面パネルをつけるのは諦め、足をつけて筐体を浮かせます。
足を作る
こんな感じの足を作りました。これを背面パネル固定用のねじ穴に固定します。高さは25mmですが、ファンがギリギリで十分な吸気が行えないので、30mmあった方が良いかもしれません。
以上で完成です。お疲れ様でした。
今回作成した3Dデータをアップロードしておきます。ご自由にお使いください。
おわりに
ファンを交換後、うるさかったファンの音が非常に静かになり、非常に満足しています。あとは電源とヘッドのファンを交換すれば、同室で寝られるくらいの音にはなると思います。また冷却性能も十分で、今のところ脱調などは起きていません。
ただ、今回はファンが厚すぎたのと、120mmは少々過剰冷却だと思ったので、90mmで厚さ15mm程度のファンが入手できれば換装したいなとは思っています。また、マザーボードがPWM制御に対応していないので、PWMでリアルタイムに回転数を制御できるようにすればもっと静音性を高められるようになると思うので、そのあたりの改造もやっていきたいです。